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第60回近畿理学療法学術大会
-2021年02月07日-
「スポーツ領域に理学療法士が関わる意義 ~10年後のスポーツ理学療法士像~」
理学療法士が得意とする知識と技術は,日常の基本動作から生活上での応用動作へつなげる際の「動きが観れる専門家」であると考えている。特に「スポーツ」に限って言えば,「動作分析」から「評価」が行え,競技力向上や改善に結び付けられる職種である。
今回のテーマであるスポーツ領域では,「競技スポーツ」と「生涯スポーツ」に分けることができる。これまでは,個人やチームとしての能力と技術の限界に挑む「競技スポーツ」が脚光を浴びて来た。ところが,最近では個人のライフスタイルに合わせて楽しむことができる「生涯スポーツ」もこの領域では認知度が上がっている。
それぞれのスポーツにおいて理学療法士が関わる意義は,競技スポーツでは心身の健全な発達などを求める時,すぐに痛みをとることではなく,なぜ痛みがあるのかその原因を知り解決することである。特にジュニア世代に関わる指導者は将来を見据えた育成をしているので即効性のある治療よりもケガをしっかり治すことが求められている。一方で,生涯スポーツでは生活習慣病の予防など高齢者における運動において,「行動の予後予測」をした上で運動メニューを提供し理解を得ながら指導にあたることが求められている。
さて,「障がい者スポーツ」と言えば,これまでリハビリテーションや福祉という側面で捉えられてきたが,最近では自らを表現する重要なツールとなってきている。そこで,理学療法士が障がい者スポーツに関わる意義には,「するスポーツ」,「観るスポーツ」,「支えるスポーツ」として,障害の有無に関わらず,多くの方が障がい者スポーツに関われる機会をつくれるアドボケーター(advocate)になることだと考えている。
最後に2030に向けた課題としては,高齢化社会とともに医療制度は変遷をとげ,昔と比べ入院期間は短縮されてきた。これはマイナス要因として考えられ,リハビリテーション職種の視点からみると,「日常生活への復帰」がゴールとなり,歩行自立や在宅生活レベル獲得を目指した理学療法が大半になっている。本来,我々が設定するゴールは,身体機能を維持・向上させQOLを高め社会とつながるために欠かせないことである。したがって,10年後には,誰でもがスポーツを楽しむまでのツールとして課題を解決しておくことが,理学療法士の役割であり「意義」と考える。